産業創生奨励賞

受賞者

小林 秀彰 (コバヤシ ヒデアキ)氏

IDEC株式会社 ファインバブル事業部

(研究テーマ)UFB直接観察と同定、実応用される安定的高数密度生成技術開発

授賞理由

2010年以前、水中に浮遊する超微細な気泡のサイズを適切に計測する機器が無い時期より、受賞者は様々な異なる原理をもつ微細粒子計測装置を使用して、水中に直径約100ナノメートルをピークにもつウルトラファインバブルが浮遊していることを明らかにしました。とくに共振式微細粒子質量測定法での実測結果では、水中に浮遊する粒子のうち水よりも明らかに比重の軽いウルトラファインバブルと、比重の大きい固体粒子との識別に世界で初めて成功しました。この成果はのちの日本主導によるウルトラファインバブル測定手法の国際標準化ならびに産業応用の発展に結びつけられました。さらに電子線を用いたウルトラファインバブル直接観測への取り組み、水中への第3物質の添加によるウルトラファインバブルの安定化とそれに伴う研削加工などの高効率化、ウルトラファインバブルの濃縮技術についても特許を取得しています。これらの技術はウルトラファインバブルの産業創生への基盤となっています。以上の功績を讃え、産業創生奨励賞を授与いたします。

学歴

2008年大阪大学 工学部応用自然学科 卒業
2010年大阪大学大学院 工学研究科精密科学・応用物理学専攻博士前期課程 修了

職歴

2010年-2016年IDEC株式会社 技術戦略部先端技術開発グループ
2016年-現在IDEC株式会社 ファインバブル事業部

小林 弘奈 (コバヤシ ヒロナ)氏

独立行政法人製品評価技術基盤機構 国際評価技術本部国際規格課 主任

(研究テーマ)ウルトラファインバブル評価法の開発とルールメイキング

授賞理由

ファインバブル技術の産業化や健全な市場形成において、直接目で見ることができない小さなウルトラファインバブルの大きさや1ミリリットル当たりの個数測定法の信頼性には些かの疑念がありました。とくに市販の分析装置では水中に浮遊するナノサイズの異物などはウルトラファインバブルと区別がつかないことが、大きな問題でした。そこで受賞者はウルトラファインバブルと異物が含まれたサンプル水から、ウルトラファインバブルのみを選択的に消滅させたのち、異物のみの個数を測定し、その差分から真のウルトラファインバブルの個数濃度を求める技術を学術的な見地から実験を重ねて確立し、その評価法を論文として公表しました。開発されたウルトラファインバブル評価法は現在多種多様なウルトラファインバブル発生装置の研究開発が行われているなかでも広く活用されています。さらに世界各国でも簡便に利用できるウルトラファインバブル評価法とするために、国際標準規格(ISO)として提案し、様々な議論に参加し、最終的に複数の国際標準規格の発行を実現しました。こうしたウルトラファインバブル評価技術の開発、標準化、普及、ルールメイキングにおいて受賞者は産業創生に大きく貢献したと認められます。以上の功績を讃え、産業創生奨励賞を授与いたします。

職歴

2013年独立行政法人製品評価技術基盤機構 入所
2017年-2022年独立行政法人製品評価技術基盤機構 国際評価技術本部ファインバブル室 主任
2022年-現在独立行政法人製品評価技術基盤機構 国際評価技術本部国際規格課 主任