ファインバブルの歴史
「泡」の研究は紀元前3世紀からはじまりました。
アルキメデスが浮力を発見した紀元前3世紀以来、気泡に関心を持ち研究した人々が数多くいました。17世紀のガリレオや19世紀のポアソン、ポアズイユやストークスらは物体の浮力、粒子の運動、液体中における気体球の動きを研究しました。20世紀にはクリフトやグレイスによって気泡の運動に関する多くの研究が進められました。
日本における泡の研究も古くから行われ、現在は世界をリードしています。
日本における気泡研究の歴史は長く、主に機械工学、原子力工学、化学工学などの分野で多くの研究者/技術者が参加して発展しました。
特に、1990年代以降からマイクロバブルやウルトラファインバブルについての基礎研究や多くの応用事例が報告され、日本がファインバブル技術の先進国となる礎を築きました。
日本発でファインバブル産業化の基盤が構築されました。
2004年には、FBIA個人会員の矢部博士(産総研)がウルトラファインバブルの効果に関して、洗浄・殺菌効果を証明する学会発表を世界初で行った他、2012年には同じくFBIA正会員のIDEC(株)が、ウルトラファインバブルの存在(気泡である証明)の学会発表を世界初に行うなど、日本発の技術として世界的に基盤を構築していきました。その間、国内ではファインバブル技術の産業化の機運が高まり、産学官が連携して健全なファインバブル産業の発展と基盤構築を進めるという機運が高まり、2012年には、産業界リードの下学会、国が協力して(一社)ファインバブル産業会(FBIA)が設立され(当初名称は(一社)微細気泡産業会)国際標準化活動を中心に日本発でファインバブル産業の国際展開活動が開始されました。
ファインバブルの測定技術が進化して研究開発を後押ししました。
当初、ファインバブルの測定は、既存の粒子径測定技術を用いて、マイクロバブルの大きさ(直径)の測定が限界でした。
その後、ウルトラファインバブルに関する研究開発が進むにつれ、より小さいサイズの気泡をより正確に測定できる装置が必要になってきました。これには、新たに開発された粒子軌跡解析法、共振式質量測定法および改良されたレーザ回折・散乱法などで対応できるようになりました。
これらの手法を用いた測定装置を正しく使用するために、ファインバブル産業会(FBIA)、製品評価技術基盤機構(NITE)および産業技術総合研究所(AIST)の協力によって測定手順の標準化が図られ、ISO規格がすでに発行されています。
産業としての成長がますます期待されています。
ファインバブルはその特性を生かし、さまざまな分野に応用されてきています。2020年現在、シャワーヘッド、浴槽、水栓等の消費者向けファインバブル製品が広く市場化され、産業応用、農水応用含め産業化が急速に拡大中です。
ファインバブル製品市場規模は、10年前の調査では2023年に国内5,000億円、全世界6兆円を超える規模になると予測されていましたが(総合プランニング調べ、2014年4月)、現在、はるかにこの規模を超えるものと想定されています。
気泡研究の歴史
紀元前3世紀 | アルキメデス、浮力を発見 |
1612年 | ガリレオ、物体の浮力に関する論文を発表 |
1831年 | ポアソン、粘性のない液体中での固体球のゆっくりとした沈降についてPotential flowの式を導く |
1841年 | ポアズイユ、実験的に円管内の固体粒子の運動を調べる |
1845年 | ストークス、粘性液体中での固体球の運動を最初に解析する |
1978年 | クリフトら、液中での気泡、液滴および粒子の運動に関する書籍を出版 |
1978年代 | グレイス、液中で運動する単一気泡の上昇速度、気泡サイズ、気泡形状、液物性などとの相関関係を複数の無次元群を用いてマップ化し、固体球とは異なり変形を伴う気体球の運動を整理 |
ファインバブル学会連合 会員5団体の歴史
1982年 | 日本混相流学会(日本学術会議混相流小委員会(当時))設立 |
1984年 | 化学工学会 粒子・流体プロセス部会 気泡・液滴・微粒子分散工学分科会(気泡塔研究会(当時))設立 |
1992年 | 日本ソノケミストリー学会(ソノケミストリー研究会(当時))設立 |
2008年 | 化学工学会 反応工学部会 反応場の工学分科会設立 |
2012年 | 一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)設立 |
2015年 | ファインバブル学会連合設立 |